「グリーンナイト」みた

映像がすごくて物語は難解、という個人的には苦手なタイプの映画だったんだけど大変おもしろく見れた。誰の感想も読まないうちにひとまず解釈してみるネタバレですネタバレとかあるのかこの映画

・全体として

バンジージャンプのようないわゆる通過儀礼、「イニシエーション」の映画っぽい。擬似的に自殺することによって、命を賭した経験を経て「大人」になる。とはいえ現代的な映画なのでそこまでシンプルではない。男性にとっての通過儀礼は、いわゆる(命を捨てて騎士になることや名誉こそが重要だと考えるような)「男らしさ」を受容する儀式でもある。たとえば性的不能や早漏で行為がうまくできないことが「未熟さ」や「自信のなさ」とつながっている話が出てくるんだけど、そのあたりにも批判的な視線を感じた。原作(といっても読んだことないのでwikipedia情報ですが)では妻の誘いを固辞したことが認められるという展開があるっぽいが、映画では早漏だったし目に帯を巻いた老婆(映画の前半部で目に帯を巻いた母が出てきてなんかやってるので、全体として母が仕組んだ通過儀礼っぽい?)に見られて気まずいのでダッシュで逃げたように描かれている。あと「騎士道精神よりも善良さのほうが重要っしょ」という冒頭で提示されたテーマも大事っぽい

・首切りゲーム

名誉を求めるあまり、自分の首を差し出さねばならなくなって、怖いので一年飲んだくれていました、ということでいいかとおもいます。これは母が仕組んでるんだよな……?

・親切心

これが一番ムズいんだよな。未熟さゆえの傲慢さによって充分な返礼をせず、騙されて、身ぐるみを剥がれてしまうということ? イニシエーションではまず徹底的に既存の人格を否定するところから始まるので、多分そういうやつ。ここで一度帯が盗まれる。帯はたぶん臍帯のことで、おそらく母親の庇護のことを指している。

・聖ウィニフレッド

これはシンプルに「見返りを求めず人を助けろ」ということだと思った。あと「首が切断される」という話がでてくる。首を返すと(自らの首を切断するであろう)斧が返ってくる、っていうのも、なんかこう、なんかありそうなんだけど、うまく言葉で説明できない。

・巨人、キツネ

日本では夜寝てる間に山が動いているんじゃないかみたいな「デイダラボッチ」の話があるけど、おそらく万国共通で巨人って人間より巨大なもの=自然だよね……? キツネが加護だとしたら、キツネが助けてくれましたみたいな。

・母、領主(?)の妻から授けられた帯を捨てる

親離れ、ということだよね……? 騎士であり、王となることのくだらなさが描かれるあたり、「真の騎士になったのだ」的な話ではなさそう。最後娘(?)が冠をおもちゃにしてるところからも、ガウェインはそういう男らしさの名誉ゲームから降りたのだ、という話なのかな~わからん、見放題になったらもっかい見るかもね